野球が上手くなる練習まとめ

野球が上手くなる方法をまとめています。

『どんな場面でも今できることに集中する』が最強なメンタル術

「4点差もあったのに、9回裏から逆転されて負けてしまった」

「ゴロを転がさないといけない場面なのに、なぜかフライになってしまう」

「チーム内でエラーが続いてしまう」

 

このような現象は草野球に限らず、プロ野球でもよく目にします。

「絶対にそうなってほしくない」という結果が現実になってしまう場面です。

長年野球をやってきましたが、なぜこのような現象がよく起こるのか解明できずにいました。

 

しかし、先日、東北楽天イーグルス千葉ロッテマリーンズのメンタルトレーナーである岡澤氏の講演会に参加した際に大きなヒントを得たので書き記しておきたいと思います。

 

思考は現実化する

 4点リードのまま、9回裏に突入。あなたは、あと3人抑えれば勝てる場面のピッチャーだと仮定しましょう。スコアは4-0。

 

 これまで通りに投げれば負けることはほぼありません。誰もがそう思っています。

しかし、野球ではよくサヨナラゲームが起こります。4点差が一気にひっくり返されるのです。

 

 9回のマウンドにたったピッチャーの心理を考えてみましょう。

「4点もあるから大丈夫かな。ここから逆転されたくないな。甘いコースは投げちゃまずいぞ」

 こんな風に考えているピッチャーの頭の中にはどんなイメージが浮かんでいるでしょうか。

 「バッターを抑えてガッツポーズしている自分」ではなく

 「逆転される自分」「甘いコースを投げる自分」を想像していないでしょうか。

 

 人間は言葉を認識した瞬間に、瞬時にイメージしてしまう生き物です。「りんごを想像しないでください」と言われ時に、あなたの頭の中にはリンゴがイメージされませんでしたか?

 

 勝利を目前にした際、人間には「負けたくない」という心理が働きます。ピッチャーであれば、「高いボールは打たれるからダメだ」と考えます。その時、「高いボールを打たれる」イメージを頭の中に浮かべてしまうのです。

 

 技術を向上させるために、自分の頭の中のイメージを再現する練習をこれまで何度もしてきている選手であればあるほど、「高いボール」をイメージしてしまうだけで、体が勝手に高いボールを投げるフォームになってしまう。

 

 「フライは上げてはダメだ」と考えれば考えるほど、「フライを上げるイメージ」を想像してしまう。

 

 「ゴロを取り損ねてはダメだ」と考えれば考えるほど、「ゴロをはじくイメージ」を想像して、動きが固まってしまう。

 

 「エラーが続いているから、エラーを止めないと・・・」と思えば思うほど、自分のところにボールが来た時に、「エラー」のことが頭をよぎってエラーをしてしまう。

 

 まじめな選手ほど、大事な場面で結果を出せないことがあります。その原因が、この「悪い結果を生み出したらどうしよう」という守りに姿勢に陥っているからです。この姿勢に入ってしまうと、「良い結果」を生み出すためにやるべきことに集中していないため、「悪い結果」になる確率が上がります。

 

 近い距離を上手に投げられない「イップス」という現象があります。これも「こんな近い距離をちゃんと投げられなかったらどうしよう」と考えしまったり、周りから笑われたり、叱られたり、投げる相手が嫌な顔をしたりすると、この現象が起こりやすくなると言われています。

 

 本来、「良い結果」を出したければ「良い結果を出すための手順」を行えば、当然、良い結果が生まれる確率が上がるはずです。

 

 だから、大切なのはどんな場面でも「良い結果を出すために、今やれることをやる」という思考です。

 

 例えば

 「高めのボールは打たれる」という事実があります。この時どう対処すればいいでしょうか。

 

 【悪い例】

「高めのボールを打たれる」→「高めのボールは投げたくない」→「早めにボールを離してはダメだ」(この時点で、早めにボールを離す感覚を思い出してしまう)→高めのボールを投げてしまう→外野に運ばれる確率が上がる。

 

 【良い例】

「高めのボールは打たれる」→「今必要なのは低めのボールだ」→「低めのボールを投げるには遅めに離そう」(遅めにボールを離す感覚を思い出す)→低めにボールを投げる→内野ゴロの確立が上がる。

 

 【悪い例】の様に考えて、実際に高めにボールを投げてしまっても、打者が打ち損じて内野ゴロになることもあります。相手のレベルが低いほど、このような結果オーライがよく起こります。また、打者が「内野ゴロは打ってはダメだ」と思ってくれていて硬くなれば、さらに内野ゴロが増えるはずです。

 

 だから、この例では「高めのボールを投げてはダメだ」という言葉を「低めのボールを投げるのが良い」と頭の中で変換できる選手が、良い結果を生み出しやすくなるのです。

 

 「○○してはダメ」→「○○するために今何をすべきか」を考えるのです。

 

「欲しい結果」から逆算する

 1点差で負けている9回裏2アウト。自分がヒットを打たなければ負けてしまう場面。これまでの記事を読んでくださったあなたならどういう考えで打席に立つでしょうか。

 

 ①「欲しい結果」

 ②「そのために今やるべきこと」

 

の手順で考えましょう。

 

 ①「欲しい結果」は、ヒットです。

 ②「そのために今やるべきこと」はヒットを打つために何をするか考えることです。

 

これまで、初球を思い切り振ったらヒットが生まれる確率が高いのであれば、あなたのやるべきことは「初球を思い切り振ること」です。決して、初球に手を出してアウトになることを恐れてはいけません。

 

特に初球を打ち損じると、周りから「もっと球数を投げさせれば暴投があるかもしれないだろ」と言われる可能性もあります。ここは「初球を思い切り振ってヒットが出る確率」と「暴投」の確立を考える必要があります。

 

ピッチャーがこれまで何度も暴投をしていれば、「暴投をしてはいけない」と硬くなってくれて暴投の確立は上がるかもしれません。

 

でも、そうでない場合は、「初球を思い切り振ること」の方がヒットの確立が上がります。だからこそ、ここは割り切って初球のストライクを思い切り振りにいくのです。

 

もし、ここでボテボテの内野ゴロでアウトになったとしましょう。

最後のバッターになってしまって、初球を打ったことを責められるかもしれません。

 

最後のバッターというプレッシャーから、何もできずに見逃し三振したアウトも

ボテボテの内野ゴロのアウトも、結果は同じアウトです。

 

しかし、プロセスが全く違います。

 

何もできずに見逃し三振のバッターは、ヒットが生まれる確率が0%でした。

ボテボテの内野ゴロのバッターは、ヒットが生まれる確率は90%だったかもしれません。しかし、微妙にボールを打ち損じてしまいました。

 

前者は「バットを振らなかった後悔」が残り

後者は「バットを振ったけれど、打ち損じた後悔」が残ります。

 

どちらの選手がこの後、上手になるでしょうか。

もちろん後者です。「打ち損じた原因」を考えられるからです。

「打ち損じた原因」

・ストレートと思ったら、カットボールだった。

・ボールをよく見ていなかった。

・いつも以上に力を入れて振ってしまった。

・打つ前に足を上げるタイミングが遅かった

 

など、具体的に練習するべき内容が明確になります。

打ち損じた原因をつぶす練習を重ねれば

次の同じ場面ではヒットを打てる確立が95%になるかもしれません。

 

どんな場面でも、今やるべきことがある

勝っていても、負けていても、「欲しい結果」の為に今やるべきことは必ずあります。

 

勝っていれば、「負けないためにしてはいけないこと」を考えるのではなく「勝ち切るために今するべきこと」を考える事。

 

負けていれば、「勝ちをあきらめて好き勝手に打つ」のではなく「逆転するために、まずはランナー一人を出すこと」を考える。だから、セーフティバントや、ボールを見極めてフォアボールを狙う、リード幅を広くして相手のミスを誘うなど、具体的にやれることをやるのです。そうして負けても、かならず次につながる負けになります。

 

もし勝ちをあきらめて好き勝手に打つとして、運よく勝ったとしても次回同じ場面で打てるとは限りませんし、負けたとしても「あきらめてたから」という言い訳しか生まれません。試合の後に「あきらめたこと」は次の練習のしようがありません。

 

だから、どんな状況も「今やるべきことは何か」を常に考えることが

一番、パフォーマンスが上がるのです。